鈴の実。~British Life~

ロンドン駐在中の夫婦2人がロンドン生活や旅行について綴ってます。

鈴の実

世界最古のレストラン ヘミングウェイ、日は昇るのか

昔、好きだった小説に日はまた昇るがあった。全体的な話はさほど覚えてないのに(ほんとに好きだったのだろうか。。)、ヘミングウェイのクリスプな、キレの良い、リズムのある文体が好きで、この本はそれを楽しむのに良い長さだった。

ヘミングウェイといえば、戦争、スペイン、闘牛である。非常に男くさい。わかりやすい。生きるか死ぬか、明か暗か。

 

よって、マドリードのボティンである。

日はまた昇るに、このレストランは登場する。

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コモンがガイドブックから探してきて、予約をしてくれた。

ヘミングウェイもそうだけど、「世界最古のレストラン」(1725年創業)という魅惑的な響きに我々はとても楽しみにしていました。

だって、長く続く営業=物凄く美味しいものが食べられる、ってことでしょ。普通。

いくらヘミングウェイがここでワインを飲もうが、若かりしゴヤが皿を洗おうが、世の中は世知辛い、美味しいものを提供し続けなければ、やっていけないわけである。

レストランは、味が命だ。

ガイドブックには、子ブタの丸焼きが名物と書いてあった。外の皮はパリパリっと中はジューシー、あのお決まりのコメントつきで。

 

想像は果てしなく拡がっていた。今まで食べたこともないくらいの、柔らかなジューシーなお肉、噛めば肉汁がじゅわりと出て、皮はサクッと噛み切れて、豚くささはもちろん全くない。それをワインで飲み干すわけである、ヘミングウェイ的に。あー、たまらない。

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よって、メニューを見て、割と全部それなりのお値段もするので、もうこの子ブタの丸焼きコースをそれぞれ頼もうということになった。

 

だって、このお店にきて、それ以外ってはっきり言って頼む理由がありますか?いや、ない、絶対に。我々の選択肢はブタしかなかった。

しかし心配はあった。

もし、一人一匹の子ブタがやってきたらどうしよう。

 

テーブルに二匹の子ブタ。

かなりシュールである。

 

ガイドブックには、一匹六人前って書いてあった。

書き方を考えてみると、多分、子ブタ一匹で、六人前ってことになるとは理解できるのだけど、ガイドブックの写真が何しろ子ブタの丸焼きだから、安心していたら子ブタの丸焼き二匹がくるより、心構えをしていた方がまだショックは少ない。

 

その子ブタをガスパチョを飲みながら待っているのに、どういうわけか、給仕の人が子ブタをなかなか持ってこなかった。ちなみに、コースは、水ボトル、ワイン、パン、ガスパチョ、子ブタの丸焼き、アイスクリームというおそろしいほどシンプルである。

「子ブタだけを食べるのはきついからガスパチョ残してるのにさ、これはフランス料理形式で、これ飲まないとブタやってこないんじゃないの?」とコモンが言う。

ここまでの美味しいタパスを経験してきた我々にとって衝撃である。

「フランス料理って形式ばってるじゃん、それにひきかえスペイン料理って最高だよね。美味しいし、作法とかないし。小分けで食べられるし」って、昨夜言ってたばっかりだったのに。

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このガスパチョは、一気に飲むには量が多すぎる。とても美味しいのだけれど、やはりブタと食べたい。

「まさか、やはり子ブタが大きすぎて、テーブルにのらないからかな。だからスープ皿をさげないとこないんじゃないの?」

また、コモンがおそろしいことを言う。

 

結果、当然だけれど、切り分けられたものがやってきた。切り分けられていないジャガイモがそえられ、

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毛がついたままのところもあって、野性味たっぷりにやってきたのでした。

テーブルは、十分、ガスパチョもブタも乗るスペースがあったにもかかわらず、我々には既にブタとワインとパンしか残されてなかった。

 

ご想像のとおり、我々の魅惑的な想像は見事に打ち砕かれました。そのブタの味は、想像のまるで逆なものだった。

皮は一口しか食べられなかった。

最後は少し泣きそうになっていた。

 

でも、これって本当に個人差なのだと思う。

隣の席のカップルは、単独子ブタ丸焼きだけをそれぞれ頼んで、ワインで飲みながら、骨までしゃぶってたから。きれいさっぱり食べてました。

我々のお皿の山盛りの残骸とはまるで違う。

 

だから、お肉好きな方は是非挑戦して下さい。我々のミスはネットにこれほどまで、ボティンの子ブタの丸焼きの情報が載ってあり、コースを二人で分けあうという方法を皆さんがとっていたにも関わらず、一人一コースを頼んだことです。名物やら、伝統やらパリパリやらジューシーやらの言葉を信じすぎたことです。

 

それらは必ずしも自分の口に合うとは限らない。だから最小限の量を頼み、プラス追加するという基本的なことが必要だったのです。

 

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締めのアイスクリームは美味しかったのですが、そこまでの量とブタのインパクトに、もうコモンはぐったりしてました。私はアイスクリームはペロリと食べたけれど。

 

マドリードでは、プラド美術館で素晴らしいゴヤや、レンブラントや、ルーベンスを見たのに、コモンに思い出はと聞くと、「ブタ」という答えがかえってきていた。

 

因みに地下の場所が良いと評判のボティン、それもあとでネットで知ったのでしたが、やはり地下の雰囲気はよかったし、全体的には行って貰いたいお店です。ただし、注文は慎重に。あとでプラスすることはできるわけですから。

 

時間があれば日はまた昇るを読みたいです。

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きみちゃんでした。